第10章 -理想-(火神大我)*★
-現在-(火神自宅)
ピコン♪
「おわっ…。」
またメールがきて、
オレは慌てて受信BOXを開く。
篠崎からだった。
Sub.元気だよ。
『………………』
本文無しかよ⁈
オレは思わずそのまま送ってしまった。
『本文無しかよ⁈』
『あ…ごめん。火神は元気?』
『おう。』
やべ…せっかくメールしてたのに、
これだけじゃ終わっちまうな…。
そう思ってたら少ししたら、
また返事がきた。
『合宿どうだった?』
『温泉も入れたし、よか…
って、あぁっもうっ‼︎じれってぇ‼︎
オレは作ってたメールを消して、
そのまま篠崎に電話を掛けた。
プルルッ…
『うわっ…っ…か…がみ…?』
篠崎もスマホを持っていたのだろう。
思いのほかすぐに出た。
『お前、なんで無視すんだよ?』
『えっ…⁇』
『こないだから、オレのこと、
避けてんじゃねぇか!
言いたいことあんなら、
ちゃんとオレにハッキリ言えよ!』
怒ってるわけじゃねぇのに、
つい、怒鳴ってしまい、後悔したが、
メールじゃないから、消せない…。
篠崎は無言だった。
夏祭りで見たカップルは、
どこかで見たことあると思ったら、
秀徳の宮地で、
篠崎の初恋の相手だった。
こないだの秀徳との練習試合の後、
ちょっとした篠崎のウソから、
オレたちは一緒に帰ることになった。
その時…それ以来、
篠崎はオレを避けるようになった。
篠崎のことは好きとかじゃねぇ
…と思う。
でも、気にしてないけど、
気付いたら可愛いと思って、
意識してしまう。
きっと、最近、
急にあいつと接近したからだ。
それだけだ…。
気にしてないけど、
篠崎といるとドキドキした。
でも…
今までみたいに
話せなくなるくらいなら、
そんな気持ち忘れてやる…
だから、これ以上
あいつと話せないのはもうイヤだ。