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〜Mint Candy Story〜

第10章 -理想-(火神大我)*★


「ちげぇよっ!
黒子がおめぇらに
差し入れ買うっつぅから!
オレはそれを持ってただけだよ!」


「自分が持つって言い張ったくせに。」


「はぁぁ⁈黒子、てめぇ‼︎
おめぇが持てっつったんだろうが!」


「まぁまぁ…。落ち着いて…。
みつば!2人来てくれてるし、
ちょっと休憩しようか。」


藤宮になだめられ、
休憩に入るこいつらと、
藤宮の家に行くことになった。


神社の裏手に藤宮の家があるらしい。


4人で向かっていたが、
途中で藤宮が他の客に何かを聞かれた。


「みつば、3人で先に行っててくれる?」


3人で歩いていると、今度は黒子が
わたあめを買ってくると言い出す。


結局オレと篠崎、2人で歩いていた。


「今日は部活休みだったの?」


「いや。午前中だけやって、
さっき皆で集合した。」


「そっかぁ。バスケ部仲良いね。」


「お前のは浴衣じゃねーのか?」


「え?これは巫女さんの衣装だから、
浴衣じゃないよ?
あ、火神、見るの初めて?」


「あぁ。つか、祭りも初めてかも…
ん?どうした?」


神社の裏手にまわろうとした時、
急に篠崎が止まった。


「か…火神!あっちから行こ…」


”あっちから”と篠崎が言ったくせに、
篠崎は動かなかった。
正確には動けないようで、
前の方を見て少し震えていた。


「おいっ!篠崎っ⁉︎」


「しっ!は…早く…」


早くとか言うくせに、
こいつ、さっきからやっぱり
動けないでいる…。


オレはふと篠崎の視線の先を見た。
オレも一瞬固まってしまった。


浴衣を着たカップルが、
抱き合ってキスをしていた。


けど、それくらいでこんな固まるか?


「…っ。」


こいつ…泣くのガマンしてやがる…。


暗いからハッキリわかんねぇが、
オレのが背が高いから、
篠崎の顔がよく見える。


篠崎の目には涙が溜まっていた。


「火神…?」


オレは思わず篠崎の真ん前に立った。


「動けねぇんだろ?
仕方ねぇから、オレが立っててやるよ。
したら、見なくてすむだろ?」


「火神…。」



キュッとオレのTシャツの裾を持つ
篠崎の手はまだ震えていた。

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