第10章 -理想-(火神大我)*★
-回想-(夏祭り)
「へぇ。すげぇなぁ。」
カントクの提案で、
バスケ部メンバーで夏祭りに来ていた。
土田先輩は彼女と行くっつって、
夏祭りは不参加だった。
代わりというわけじゃねぇが、
すみれさんが来ていた。
カントクとすみれさんは浴衣で、
2人とも思いのほか可愛かった。
木吉先輩がいつもより
デレデレしていたのは、
さすがのオレでも気づいていた。
なんで、あれで付き合ってねぇんだよ。
ま、合宿で付き合うことになってたか。
「火神くん?どうしたんですか?」
「うわぁっ⁈なんでもねぇよ。」
若干日も暮れてきたせいか、
いつもより黒子がわかんなかった。
「そういえば、ここの神社、
藤宮さんちなんですよ?」
「藤宮って、ウチのクラスのか?」
「はい。藤宮さん、
巫女の仕事を手伝っていて、
今日は篠崎さんもいるそうです。」
「篠崎〜っ⁈」
「はい。後で差し入れ行きましょう。」
「はぁ?めんどくせぇなぁ。」
とりあえず、皆で夜店見てまわった。
つか、うめぇもんありすぎた。
普通の焼きそばなのに、
めっちゃうまかった。
一通りまわってから、
黒子が勧めてきた、
ベビーカステラとりんご飴を買って、
社務所?とかいうトコへ向かった。
「藤宮さん!」
「黒子くん!火神くんも!
来てくれたの?」
「おう。」
藤宮は浴衣ではない和服?を着ていた。
「みつばー!
火神くんと黒子くん、来てるよ〜!」
「あれ?久しぶりだね〜。
…バ火神は相変わらず
食べてばっかなんだね(笑)」
オレが持っていた差し入れを見て、
篠崎が笑った。
「…っ⁈」
オレは不覚にも
篠崎のことを可愛いと思ってしまった。
制服姿しか知らない篠崎は、
藤宮と同じ和服みたいなのを着て、
いつもおろしているのに、
髪も束ねていて、雰囲気が違った。
「…火神?」
言い返さないオレのことを
不思議に思ったのか、
篠崎はオレの顔を覗き込んできた。
「バッ…‼︎ちげぇよ‼︎ほら!」
オレは持っていた袋を篠崎に渡す。
「ん?なに?ゴミ〜?」
篠崎は袋の中を見ながら言う。