第9章 -安心-(木吉鉄平)*
帰りは桐皇の奴らは学校のバス、
オレらは電車だった。
青峰と別れられると思うと
せいせいする。
指定席じゃねぇし、
窓際陣取って座ってたら、
座る席で先輩たちがもめていた。
「すみれちゃ〜ん♡
これからずっと鉄平と
イチャイチャできるんだから、
今日の帰りくらい、
わたしの横に来なさい!」
「リコ…あの…笑ってるけど、
笑ってない…。」
すみれさんは木吉さんに隠れるように
カントクを見ていた。
「リコ〜。どうしたんだ?
行きはオレの隣すみれだったろ?
あ!もしかして!
リコもすみれのこと好きなのか?
でも、リコとすみれは…」
「ちがーーう!」
「どこでもいーじゃねぇか。
カントク、
2人くっつけたかったんじゃないの?」
叫ぶカントクを日向先輩がなだめた。
「そうよ。
でも、今聞かないと詳しいこと
聞けなくなりそうだし♡
今日だけよ♪すみれはこっち!」
「すみれ〜〜〜〜〜‼︎」
「まぁまぁ。
オレらの横でガマンしとけって。」
結局、木吉先輩は、
すみれさんと離れて座ることになった。
「ったく。座る席くらいで…ガキか。」
「好きな人がいたら、
座る席1つで必死になるものですよ。」
「うわぁぁっ‼︎黒子っ⁈
てめぇ、いつのまにオレの隣に…⁈」
「さっきからいました。」
あ…相変わらずこいつの
突然湧き出る感じには慣れないぜ…。
「ふぁぁぁ…。ま…いーけどよ。
にしても、なんか今回の合宿、
ハードだったな。」
いつのまにかほとんどの奴が寝ていた。
「なぁ…黒子?おいっ。」
「…zzZ」
はぁ…。
なんでいきなり寝てんだよ⁈
…ったく。
オレにもたれてくる黒子を
しかたなく支えてやりながら、
オレは作成途中のメール画面を開いた。
『なんで最近シカトするんだよ?』
昨日ようやく作ったメールだが、
送っていなかった。
この前の秀徳との練習試合のあと…
あの時からあいつ…
篠崎はおかしくて、だんだんオレを
避けるようになった。
…くそっ。なんでだよ。
『なんで最近シカトすんだよ?
なんであの時宮地に…』
そこまで打ってまた全て消した。