第9章 -安心-(木吉鉄平)*
そう言ったすみれは、突然、
涙声になり、泣くのを我慢していた。
「キスされそうになって…怖くて…
ずっと心の中で木吉くん呼んでたら、
ほんとに木吉くんが来てくれて…
でも…その後…お風呂で…
木吉くんは優しくしてくれたのに、
わたし…木吉くんに…」
「すみれっ!もういい…!」
オレはそのまますみれを抱きしめた。
「木吉くん⁈」
「ごめん…。オレが悪かった。」
「…?木吉くんはなにも…」
「オレ…青峰に嫉妬してたんだ。」
「嫉妬…?」
「あぁ…。
青峰の奴、やたらすみれにからむし、
すみれも青峰に優しいし…。」
「や…優しいって…普通だよ。
皆と同じように…。」
すみれが急に顔をあげ、
恥ずかしそうにオレを見てきた。
「そう。”皆と同じ”がイヤだったんだ。
オレだけ…すみれの特別になりたい。
ダメか…?」
「も…もう…特別だよ。」
すみれはゆっくりオレの背中に
腕をまわしてギュッとしてきた。
「ずっと…ずっと前から、
木吉くんだけ特別なんだよ。
ずっと…好きだったの。」
「…っ。先に言われちゃったな。
すみれ…」
オレはくいっとすみれの顎を持ち、
すみれに上を向かせた。
「すみれ…オレも好きだ。」
オレはそのまますみれにキスをした。
「…木吉くん⁈」