第9章 -安心-(木吉鉄平)*
「すみれ…大丈夫そうなら、
とりあえず服着ろ?な?
オレ、外出てるし、
ここ、立入禁止の看板立てといたから、
もう人来ないから…な?」
わたしが固まっていると、
木吉くんが優しく言ってくれて、
いつものように
頭をポンポンとしてくれた…のに…
「…っ。あっ。うん。」
気づいたら反射的に
木吉くんの手を避けちゃった。
「……。外にいるな。」
木吉くんは苦笑いしながら、
脱衣所を出て行った。
どうしよう…わたし…。
木吉くんは助けてくれたのに…
わたし、ちゃんとお礼も言ってない…。
自分の身体を見てビックリした。
大きなTシャツの下に
タオルが何枚も掛けてあった。
わたしの身体を見ないように…
触らないように…
木吉くん、気を使ってくれたんだ…。
さっきのわたしの態度…
恥ずかしかったからって酷すぎる。
ちゃんと木吉くんに謝らなきゃ。
着替えて脱衣所を出ると、
木吉くんが待っていてくれた。
ちゃんと謝らなきゃと思うのに、
恥ずかしくて木吉くんの目が見れない。
「木吉くん。」
「お…。もう大丈夫そうか?」
わたしが酷い態度取ったのに、
木吉くんは優しく聞いてくれた。
「うん…。あの、ほんとにごめんね。
あの…あ…Tシャツ…。
これ、洗って返すね。」
「いや、いいよ。」
……。
ど、どうしよう…何か話さなきゃ。
あ…青峰くんのこと…!
「あ、あのね、あの…さっき…
青峰くんが言ってたことだけど…
あの…わたし…」
「あぁ。青峰もなんだかすみれに
懐いてたみたいだし…よかったな。」
「木吉くん…?」
「もう遅いし、すみれも早く寝ろな。」
「あ…うん。」
「…おやすみ。」
木吉くんはそのまま行ってしまった。
どうしよう…。
木吉くんに…誤解されてる…。
それに…
やっぱりちゃんとお礼言えなかった。
木吉くんに…嫌われちゃった…。