第9章 -安心-(木吉鉄平)*
-すみれside-
「ん…っ。」
はぁ…なんだろ…頭がボーッとする。
でも…なんか涼しいな…。
「すみれっ!すみれっ!わかるか⁈」
「木吉…くん…?」
「はぁぁ。よかったぁ。
もう気持ち悪くないか?」
すごい安心したような木吉くん。
なんで、木吉くんが…?
それよりここ…どこ…?脱衣所…?
「ん…っ。」
「急に起き上がったら危ないぞ。」
起き上がろうとしたわたしを
木吉くんが支えてくれてハッとした。
自分の姿に気づく。
裸のわたしは、バスタオルが掛けられ、
さらに大きなTシャツも掛けられていた。
「きゃっ。あ…わたし…あのっ…。」
思わず、わたしを覆ってくれている
布というもの全部で、
わたしは身体を押さえた。
「いやっ…あの…み…見てない!
つか、とりあえず、これ、飲め!
飲んだら話すから!」
そう言った木吉くんは、
わたしにスポドリをくれた。
喉が渇いていたわたしは、
一気にそれを飲み干した。
「あの…わたし…」
「温泉でのぼせたんだよ。
オレより先に入ってたしな。」
「そんな…。ご、ごめんね。
わたし、迷惑かけて…。
…?あ、でも、わたし、
どうやってここに…?」
そういえば…わたし…
温泉に入ってて…木吉くんが来て…
男湯で…青峰くんが…来て…
あれ…それで…?
話しながら突然頭に浮かんだ疑問…
わたしは温泉から
自分であがった記憶はない。
わたしが覚えてないだけ…?
それに…タオルとかTシャツとか…
これ、木吉くんの…?
「いや、その…あのな、すみれ?
青峰が…あがったあと、
すみれ、のぼせて急に気を失ってな。
それで…その…な、オレが…運んだ。」
「えっ⁈」
木吉くんが⁈
それって温泉から…だから、
つまり…
わたしは今度は
自分が真っ青になってくのがわかった。
「いや、一応というか、
すみれの髪をまとめてたタオルで、
すみれの…その、身体は隠したし、
バスタオル掛けたけど、
触ったりとかは…その…な、だから。」
き…木吉くんに…裸見られたの⁈
どうしよう…