第9章 -安心-(木吉鉄平)*
そもそも、青峰とのことで
モヤモヤしていたはずなのに
今、可愛らしいすみれを見て、
オレは自然にすみれと話せていた。
オレも現金だな…。
1人で苦笑してしまう。
「あ…呆れてる?」
「あ…いや、ちがうちがう。」
オレの苦笑いを勘違いしたすみれは、
さっきまでの怒った表情ではなく、
恥ずかしさと罰の悪さが入り混じった
表情をしていた。
「まぁ…とりあえず、オレ出るから。
そんで、誰も入ってこないように
見ててやるから、
すみれはそれから出ろ?…な?」
「…うん。あり…がとう。」
「ま、この時間なら、
もう誰もこないだろうな。」
「ごめんね。ほんとに…。」
「じゃ…オレ、あが…」
「きゃあっ!」
いったんあがろうとしたオレの腕に
突然すみれがしがみついてきた。
「すみれ⁈」
すみれの大きな胸の感触が腕にあった。
や…柔らかい。
女の子ってこんなに柔らかいのか…?
「む…虫‼︎肩!木吉くんっ‼︎」
「虫?」
半べそのすみれのオレの腕を掴む力が、
さらに強くなり、
その分オレの腕にすみれの胸が
さらに押し付けられる…。
「わ、わかったから、すみれ!
なっ!落ち着けって。」
オレはすみれをなだめるように言って、
あまりすみれを見ないように、
後ろを振り返る。
…っ‼︎
あまりすみれを見ないようにするのも
やっぱりムリがあって、
どうしてもすみれを見ないと
虫なんか見えない。
濡れている首筋や鎖骨や胸…
すみれの素肌が目に入って仕方ない。
それでも震えている
すみれの肩に手を伸ばす。
「ん…?」
「木吉くん!は…早く…!」
「ははっ。すみれは慌て者だな。
虫じゃないぞ?葉っぱだ。ほら。」
オレはすみれの肩から取った
葉っぱを見せた。
「え…?」
…っ⁈
すみれがポカンとして、
葉っぱとオレの顔を交互に見る。
その顔が可愛すぎて、
オレは思わずすみれから目をそらした。
「きゃっ。あ…ご、ごめんっ!」
すみれも慌てて離れた。
「じゃ、オレ…」
ガラッ…
「「…っ⁈」」