第9章 -安心-(木吉鉄平)*
-すみれside-
食事の片付けは皆が手伝ってくれて、
すぐに終わったけど、
わたしは明日の下準備がしたくて、
1人で厨房に残っていた。
「すみれ〜?まだかかりそう?
お風呂行かない?」
「うん。でも、あと少しで終わるし、
もうちょっとしてから行くね。」
「何か手伝うわよ?」
「え?大丈夫!大丈夫!
リコ、疲れてるでしょ?
先に入ってて。」
結局、リコには
先に行ってもらって、
厨房で明日の下準備をしてから、
わたしは部屋に戻った。
もう0時前かぁ。
木吉くんと英語の課題しよって
話してたけど、できなかったなぁ。
「もうっ‼︎ほんと最低っ!」
「ほんとですよねっ。
男のコってなんでみんなして
あんななんでしょうねっ。」
リコと桃井さんが
すごい怒りながら
お風呂から戻ってきた。
「2人ともどうしたの?」
「バカな男共が
女湯覗こうとしてたのよ。
まったく…。」
「でも、それを
リコさんが察知して、
見事未然に防ぎました♪
さすが、リコさん♪」
「覗き…?
それって…木吉くんも?」
「鉄平はいなかったわよ。
気になった〜?」
「わ…わたしは何も…。」
「すみれさん、バレバレです♡」
…⁈
桃井さんにまでバレてるの〜⁈
「わ…わたしも…
お風呂行ってくるね。」
わたしは2人の追求から
逃げるようにお風呂に向かった。
今回ここに泊まってるのは、
わたしたちだけだから、
女湯はもちろん貸し切り。
わたしは少し岩陰になっている
湯船の奥のほうへ行って、
ボーッと外を眺めていた。
夕食の時から木吉くんに
避けられているような気がした。
さっき…あんなことがあったから、
余計に一緒にいたかったのにな…。
ガラ…っ。
あれ?誰か来た…。
リコか桃井さん?
チャプン…
誰かが湯船に浸かった音がして、
こっちに近づいてきた。
「リコ〜?桃井さん?」
……っ⁈
「き…っ⁈」
わたしは声が出なかったけど、
咄嗟に肩まで浸かって、
身体を隠した。
「すみれっ⁈」
お風呂に入ってきたのは…
木吉くんだった。