第9章 -安心-(木吉鉄平)*
-青峰side-
檜原すみれかぁ…。
最初は巨乳だっ♪くらいで
興味持ってただけだったけど、
やっぱりTシャツ越しの胸もなかなかで、
あいつが作るスポドリもうまかった。
同じ巨乳なのに、なんでさつきは
あそこまで料理ダメなんだ?
わっかんねぇ…。
すみれはいちいち口うるさいけど、
なんかつい従っちまった。
ニコッとして褒められると、
悪い気はしない。
すみれが作ったおにぎりもうまかった。
おにぎり食い終わって、
ふと窓の外を見ると、
ウチと誠凛の奴らも練習終わって、
こっちに向かっているのが見えた。
先頭は誠凛の女監督と
あのセンターの…木吉。
あいつ、ぜってぇこいつのこと…
ま、あの感じだと無意識だろうけど。
こいつはどうなんだろうな。
ちょっとからかってやるか。
「”いただきます”言ったら、
食っていいっつったよな?」
オレはすみれの背中に向かって言った。
「え?うん。そうだよ?」
その答えを聞いて、
オレはすみれの後ろまで行った。
「じゃ…すみれ食っていい?」
「な…っ⁈青峰くん?ちょっ…」
両腕を押さえてすみれを見つめると、
すみれは困惑していて、真っ赤だった。
やべ…っ。かわいい…。
「いただきます♪」
「いやっ!」
すみれは目をキュッと閉じて、
顔を背けた。
オレは押さえられなくなり、
そのまま顔を近づけた…
が、
「腹減ったなぁ。
すみれのご飯楽しみだな。」
食堂の外から木吉の声が聞こえてきて、
他の奴らが来たのがわかった。
「…っ‼︎」
一瞬気をそらしたオレの隙をついて、
すみれはオレを押し返して離れた。
ガラッ…
「すみれ〜!もうご飯大丈夫?
あれ…青峰くん?」
「う…うん!準備できてるよ。
今あっためるね。」
すみれは逃げるように
そのまま厨房に行ってしまった。
「青峰!てめぇ!
またサボって何してんだよ⁉︎」
「あぁ⁈」
若松がギャンギャンうるさい。
邪魔はされたが、オレは気付いていた。
先頭を歩いていたデカい木吉は、
食堂の通路側の上の窓から、
オレたちがキスしそうなのを
しっかり見ていた。