第9章 -安心-(木吉鉄平)*
-すみれside-
今日はレモンのケーキかぁ。
うまくできたら、
木吉くんたちに
持ってってあげようかなぁ。
家庭科室でエプロンをして、
三角巾を付けた。
よしっ。がんばって作ろうっ♪
「おじゃましまぁす♪
すみれちゃーん♪」
「リコ?どうしたの?部活は?」
「ぜーーはーーっぜーーはーーっ。
カ、カントク、早ぇよっ。」
「日向くん?お、お疲れさま…。
2人してどうしたの?」
「すみれっ!お願いっ!
今週末、合宿やるんだけど、
また手伝ってくれない?」
「今週末?」
「お願いお願いっ!
すみれがいれば鉄平もやる気出るし!」
「木吉くん⁈
木吉くんは別にわたしがいなくても…
いつもやる気満々だよ?」
(や、ある意味そうなんだが…
意味がちがーーーうっ!)
「いや、まぁ、そうかもしれないが、
檜原いたら他の奴らもやる気出すし、
料理も…な、イロイロ…」
「ん?なにかな?日向くん♪」
(いやいやいや〜今の助け舟っ!)
「いや、とにかく、頼むよっ!」
そっか…合宿に行けば…
木吉くんとも一緒にいられるんだ…
でも、こんな不純な動機じゃ…
「本当にわたしでいいのかな?」
「もちろん!じゃ、頼んだわよ。」
わたしで役に立てることがあるなら…
またやってみようかな!
「うん。わかった!
ご飯のメニュー考えていくね。」
「助かるよ、檜原。
あれ?今日は何作んの?」
「今日はね、レモンのケーキだよ。
よかったら、後で持ってくから、
練習後に皆で食べてみてくれる?」
「おっ!やりぃっ♪」
「日向くんっ‼︎
すみれ、じゃ、鉄平に言っとくから、
それ鉄平に持ってってあげて♪」
「え…?うん。わかった。」
「じゃ、よろしくな。 」
リコと日向くんは
慌ただしく家庭科室を出て行ったが、
リコだけ戻ってきて、
わたしに耳打ちをした。
「あのね、ビキニ…忘れないでね♪
プールでも練習するの♪」
練習…?わたしも…?
リコの言い方は意味深だったけど、
その後何回聞いても、
そのことについてははぐらかされて
ばかりだった。
でも…木吉くんと一緒の合宿…
楽しみだな。