第9章 -安心-(木吉鉄平)*
-日向side-
「ね〜日向くん♪」
部活前にカントクに呼び出され、
オレたちは校舎の隅で話をしていた。
「なんだよ、カントク?」
「そろそろいい加減
じれったいと思わない?」
こういう時のカントクは…何かある。
オレは慎重にこたえる。
「なにがだよ?」
「もうっ。鉄平とすみれっ!」
「あ〜。そのことかよ。
じれったすぎてわかんなかったよ。
たしかになー。」
まぁなぁ。
第三者から見てると
あいつらバレバレなのになぁ。
「でしょ〜!だからね〜♪
合宿やりまーすっ♪」
………っ⁈
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょい待ち!
なんでそうなるんだよ?
つか、やったばっかじゃねーかっ⁈」
「桐皇の桃井さん…わかるでしょ?」
「あぁ。あの巨にゅ…あ、いや、
マネージャーの?先読みの…」
オレは慌てて「巨乳」
ということばを飲み込んだ。
「そ♪巨乳のー♪」
やべ…目…笑ってねー。
「そ、その桃井がなんだよ?」
「合同合宿しませんかー?
って言うのよ。
桐皇の施設で温泉ある合宿所が
あるみたいで…。
ま、食事は各自みたいだけど。」
「温泉かぁ。
そっちは惹かれるな。
で、なんで木吉と檜原の話から、
そんな合宿の話になるんだよ?
あ、カントク、まさか…⁈」
「そっ♪すみれも連れてくの。
鉄平とくっつけたいのもあるけど…
すみれに食事任せられるしね♪
降旗くんたちもそろそろプレイに
集中させてあげたいのよ。
あのコたち、1年だからって
雑用もさせちゃってるし…。」
カントクはふと真面目な顔つきになる。
「…そうだよな。」
カントク…そこまで考えて…
「よーし!そうと決まれば‼︎
さっそくすみれ捕まえるわよ〜!
鉄平アーンドすみれ!
ラブラブ大作戦っ‼︎」
「はぁ⁈お、おいっ。
待てよ、カントクっ‼︎」
オレの感動を返せ〜〜〜〜っ‼︎
オレの心の叫びなど、
カントクに聞こえるわけもなく、
オレはカントクを追いかけて、
すみれのいる家庭科室へ向かった。