第1章 -空中-(青峰大輝)
*Friday*
この現場は今日が最後。
とりあえずメアドはゲットしたが、
今日はまだ会えてない。
もう昼だ…。
今日は少し早めに昼休みに入り、
オレは現場に戻ろうとしていた。
「すみれっ‼︎悪かった!
本当にすまない。」
”すみれ”ということばに、
オレは思わず声のする方へ行った。
ビルの裏側の公園…
すみれと初めてちゃんと話した場所だ。
平手打ちくらったが。
この間とは違い、
少し奥まった所に2人はいた。
「ちょっ…。会社まで来て…。
こんなトコでやめてってば…。」
「着拒されてたから、
こうでもしないと…。
あいつとは別れたんだ!
だから…やり直してほしい…!」
「……。」
……!
なんだ…やり直すのかよ。
オレは落胆したが、
気になってそこから動けなかった。
「もう…やり直す気はないから。
帰ってっ!」
…!!
「…⁈なんでだよ⁈
お前、あんなに俺のこと…!」
「ちょっ…。やだ…放してっ‼︎」
男はすみれに無理矢理抱きつき、
キスしようとしていた。
「おい。放せよ!」
オレはその男から
すみれを引き離し、
すみれを後ろから抱きしめた。
「大輝くん⁈」
「なんなんだよ⁈
お前、関係ないだろっ。」
「あぁん⁈」
オレが睨みつけると、
一瞬怯んだように男は後ずさる。
「大アリだよ。
こいつ、もうオレの女だから。
人の女に手ぇ出してんじゃねぇよ。
二股ヤローが。さっさと失せろっ。」
男はそのまま逃げ帰った。