第6章 受験:紅覇
セリシアSIDE
「紅覇さまっ!!」
なかなか会うことはできないのだけれど、武術仲間である紅覇さまを見つけ、思わず声をかけて寄る。
紅覇さまは鍛練をしていたのだけれど、手を止めてこっちを見てくださった。
「あれー、セリシアじゃん。久しぶりぃ。」
ああ、声をかけてくれるだなんて、幸せです・・・!
私は地位なんてまったくありませんから。
紅覇さまの隊に入れてもらえてはいますが、接点なんてほとんどなくて。
歳が近いこと、私は紅覇さまの隊の一人であること。
他には何もないといっても過言ではないのですから。
「最近みてなかったねぇ?そういえば、明兄のテスト受けたってきいたよぉ?」
「知っていらっしゃったのですか!?」
そう。
私は頭脳を少しでも良くするべく、必死に勉強をして、紅明さまのテストを合格しようとしていたのです。
武術だけではなく、頭脳でも役に立てなければ、女なんて邪魔な扱いを受けるだけですから。
「だってぇ、僕の隊でしょぉ?僕はちゃんと気にしてるんだからねぇ?」
「ありがたき幸せ!!!」
なんて嬉しい言葉を・・・!!
紅覇さまは優しすぎるのです。
庶民で腕っぷしだけは強かった私を救ってくださったのも紅覇さま。
ここにきてから良く接してくださったのも紅覇様。
このかたがいなかったら、私はどうなっていたのか・・・。
とにかく、とてもお世話になっているのです。