第5章 さよならの直前:マスルール
マスルールSIDE
「・・・っ!!!」
時間はかかった。
だが、ようやくタコは海へ帰って行った。
柔らかい生き物に素手や素足でも戦いがここまで苦難だとは・・・。
「終わりました。」
ヤムライハさんの方を向いてそれを伝える。
報告もそれだけで、急いで見渡す。
・・・いない。
「ありがとうございました!」
「たすかりました!」
礼を言うためか、周囲には人が集まってくる。
だが、その中にもいない。
「すんません、ピンクのワンピースを着た細い女の人しりませんか。」
彼女と最後に会った時の服装はそれだ。
「ピンクのワンピース?」
「知ってるか?」
様々な声が飛び交う。
「ああ・・・そう言えば、確かにいたな。・・・まさか、落とされたか・・・!?」
落とされた?
「どういうことっすか。」
「お前さんらが来る前に、海に何人か落とされてるんだ。」