第5章 さよならの直前:マスルール
マスルールSIDE
―――――助けて―――――
彼女の声が聞こえた気がして、はっと目を覚ます。
「わ、びっくりした。急に起き上ってどうしたの?」
目の前にいたのはジャーファルさんだった。
「どうかしたんスか。」
「シンが君を呼んで来いって。どうしたんだろうね。届いた手紙を読んで突然慌てだしたんだ。」
「シンさんが?」
ならば行かなくては。
さっき聞こえたのは、きっと気のせいだったのだろう。
もう彼女は船、つまり海の上。
ここまで聞こえるわけがない。
「ジャーファルさん、さっきからどのくらいたちましたか。」
「仕事を頼んだ時?それなら1時間くらいかな・・・。」
なら、まだそう遠くはないか。
まだバルバッドよりはこっちより側だな。
―――――・・・―――――
「・・・!」
「?どうしたんだい?」
「今・・・聞こえませんでした?」
「??」