第6章 分隊長の恋/ジャン
ああ、もう何度目だろう。
こうして部下を失うのは。
「おい……ジャンよ、平気か?」
リヴァイ兵長が珍しく優しい声を掛けてくれる。
顔を上げて兵長を見やると、そこには老いを全く感じさせない三白眼があった。
「すいません。駄目ですね、俺……まだ全然慣れなくて…はは」
情けないです。
そう付け加えて俺は再び目を伏せた。
遠くでハンジ団長が指示を飛ばす声が聞こえる。従い動いているのは今年入団した新兵達だ。
「お前……確か恋人がいたな」
突然の問い掛け。
兵長にしては珍しい質問に思わず怪訝そうな顔になる。
「え……ええ、います…けど」
吃りながら答えれば、何故か兵長が放ったのは“有給”を許可する一言で。
「息抜きでもしてこい」
そう言って去って行く彼の背中には、相変わらず小さな自由の翼がはためいていた。