第5章 オトナになろう/エレン
「本当にいいのか?」
『もう、恥ずかしいから何度も聞かないでよ……っ』
兵舎から少し離れた空き倉庫。
積まれっぱなしになっている木箱に彼女を座らせて俺は跪いた。
「悪い……なんか、緊張しちまってよ」
目を伏せて言うとの優しい手が俺の頭を撫でる。
なんとなく母を思い出しながら顔を上げれば、大好きな彼女の唇がすぐ側にあって。
『エレン』
「ん……っ」
『大好き』
始まりのキッカケをくれるを心底愛しいと思った。
こいつといると“愛しい”だとか“可愛い”だとか思わされてばっかりだ。
「俺も、お前の事が大好きだよ…」
互いのキスに想いを重ねつつ、
俺達はオトナへの一歩を歩み出す。