第4章 壁に耳あり/沖田
突如として襖をブチ破ってきた白髪とロン毛のお侍様。
そして、その上に重なって倒れている茶屋のおやっさん。
白髪はその手にビデオカメラを握り締めてギャーギャー喚き散らしている。
『え……な、誰…この人達』
私は混乱した頭でおやっさんに問うた。
しかし、おやっさんは答えない。
「いやー違うんだよ」
「銀さんがねどうしてもって」
「ワシは何も見てないからね」
等と意味不明な供述を繰り返している。
チャキ……ッ
刀の鍔が揺れる音がした。
音の方を見やると瞳を真っ赤に染めた総悟が刀を構えている。
「ひっ……そ、総一郎くん!早まるなって!別に俺はあれだよ?これを弱みに真選組を揺すろうとか、そんなんじゃないからね⁉︎」
「そうだぞ総一郎!俺達は断じて覗きなどしていない!ちょっと盗撮してただk」
「ヅラァァ!黙ってろテメェ‼︎」
白髪とロン毛の盗撮魔は必死に言い訳をしていたが、時既に遅し。
「旦那方……覚悟は出来てやすね?」
そう言って微笑んだ総悟はまるで悪魔のようだったと、ボコボコにされた茶屋の爺は後世に語り継ぐのであった。
「ぎィやあああ!」
「許してェェェ!」
「ごめんなさァァァい‼︎」
[壁に耳あり]完