第4章 それぞれの独占欲。
ドアの外で悠とゆりさんが話す声が聞こえてくる。
ーーゆりさんは、悠のこと好きなんだよね……
途端に不安が打ち寄せてくる。
ゆりさんはスタイルもいいし、顔も目鼻立ちがパッチリしていてモデルさんみたいに可愛い。
あんなに可愛い子に迫られたら男の子は皆好きになっちゃうかも……
菜奈の話だと悠にあしらわれてるっていうけど……
その時外から悠の声が聞こえた。
悠「こら、離れて?お前まだ、仕事中だろ?」
えっーーー
"離れて"って………?
ドアの向こうがどのような状況かはわからないが、ゆりさんが悠のすごく近くにいることは想像できた。
その事を思うだけで、全身からサーっと血の気が引くのがわかる。
頭が混乱し、心臓の鼓動だけが鳴り響く中、またしてもゆりさんの言葉が降ってきた。
ゆり「ね……お仕事頑張るから…ちゅーして?」
ーーーーーっ!?
激しく動揺する私。
悠「バカ言ってんな。早く仕事戻れよーーー」
ゆりさんの誘いを断る悠の声に安堵するも私の頭の中には一つの疑問が浮かび、支配される。
ーーー悠はゆりさんとキスするような関係なの?
ドクンドクンと体が鼓動を打つ。
知りたい…けど、知りたくない…
知ってしまうのが怖い。
「… 悠っ」
届くことのない小さな声で彼の名前を呼ぶ。
早く私のところに帰ってきてよ……
ーーーそして、私を抱きしめて?