第4章 それぞれの独占欲。
【悠side】
「悠っおはようございます!」
俺を見つけあからさまに嬉しそうな笑顔を向ける花音がいとおしくてたまらない。
彼女といると自分も自然と笑顔になってしまう。
どうしようもなく触れたい気持ちを花音の頭を撫でることで抑える。
花音の髪は細く柔らかい。
その髪に触れるだけでも俺は心が温かくなっていくのを感じる。
俺に頭を撫でられ、気持ち良さそうにする花音を見ていると抑えているはずの理性がまた主張しそうだったので、やむ無く彼女から手を離す。
すると花音は寂しそうな顔で俺を見上げ、俺の服の裾を掴んでいた。
全く……こいつ、わかってやってんのか?
あー…もう本当。今すぐ抱き締めて、キスして、めちゃくちゃにしてやりたい。
我慢するよう耳元で伝えると花音は顔を赤くしながら頷いていた。
そんな姿もいちいち可愛くて仕方がない。
早く二人きりになりたい
そう思いながら仕事に戻る。
俺の定位置であるバーカウンターに戻ると賢吾とゆりが立ち話をしていた。
ゆり「あっ悠♡今日ドリ場近くの個室担当になったからよろしくね♪」
ゆりは何かと俺の近くに居たがり、よく話しかけてくる。
何度か告白されてはいるがその都度断るも、ゆりは気にする様子もなく好きだの何だのと騒いでいる。
正直めんどくさい気持ちもあるが、妹のような雰囲気もあるため憎めない奴だ。
賢吾「おーい!ゆり?俺もドリ場近くの担当なんですけど~??俺のことは嬉しくないの??」
ゆり「えーっ近くなんだ~知らなかった。だってゆり、悠以外興味ないし♪」
賢吾「ひでぇ!皆俺をないがしろにする!うわーんっ悠~」
悠「はいはい。……いいから二人とも早く仕事しろ。」
まぁ、いつもこんな感じで俺の周りは何かと騒がしい。
開店するとすぐにカウンターの席は埋まり、俺はドリンク作りとカウンターの座る客の接客に励む。
ーーー早く花音に逢いたい。
接客しながらも俺の頭の中はそのことでいっぱいだった。