第4章 それぞれの独占欲。
菜奈「あ!そういえば、ゆりには会った?」
「ゆりさん?会ったよ~」
菜奈「多分っていうか、あからさまにゆりは悠さん狙いだから気を付けてね?あの子、計算高いから花音に何か嫌がらせとかしないといいけど……」
「確かにゆりさん、ドリ場で悠に話しかけてたけど……やっぱり悠のこと好きなんだ…」
悠にはあしらわれてた気もするけど……
菜奈「出勤被ってる日はいつもだよ~バイト仲間全員がゆりは悠さん好きって知ってるしね。ゆり性格はあれだけど、顔は可愛くて華奢なかんじだからTHE男受けってかんじだよね!」
そういえば、今日は悠もゆりさんも出勤かぶるはず………!?
どうしよう……気まずい……
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バイト先の入っているビルのエレベーターについてしまった。
悠に会えるのは嬉しいけど…さっきの話を聞いちゃった手前、ゆりさんと顔会わせるのが微妙な気分だ。
今日はオープン直前の出勤なので、二人の様子を確かめることは出来そうにない。
見たいような、見たくないような………
私は悶々としたまま、お店へと向かい、更衣室についた。
着替えを済ませるドアを開けると、空き瓶を運ぶ悠がいた。
「あっーーー!」
ーー悠だぁ……///。
彼を一目見るだけで、心があったくなる。
悠は私に気づくとふわりと目を細め、柔らかく微笑んだ。
悠「おはよう。…花音」
声を聴くだけで胸がキュンと苦しくなる。
「悠っ。おはようございます。」
挨拶をしているだけなのに、とても安らかな気持ちになる。
悠はユニフォームの黒シャツに腰に巻いた黒のロングエプロン姿が本当によく似合っていて、その姿を見るたびに胸がドキドキと騒ぎだしてしまう。
悠「お客来る前にお前の顔見れて良かった。…何かやる気出たわ。」