第2章 ただ求めればいいもの
家に着くと着替えもしないまま、帰りの電車の中で悩みに悩んだ文章のメールを打っていた。
さんざん悩んだあげく作った文章は
《悠さんお疲れさまです!
今日は教えて下さりありがとうございました!
悠さんに一つ一つ丁寧に教えてもらったのでとても勉強になりました。
明日もよろしくお願いします!》
うーん…
何とも色気の欠片もない文章…
だって…
どんなこと書いていいかわかんないんだもんっ!!
でも、さすがに色気無さすぎる…?
せっかく…その…彼女になれたんだし…
きゃーっっ////
私が悠さんの彼女になっちゃったんだ!!
そうだよね、もし私が悠さんで
彼女からこんな初メール来たらドン引きだよねっ?!
で、でも何て書けばいいの~っ!!
ーーーこうして悠さんへの初メール作りは振り出しに戻った。
ーーーーー1時間後
「えーい、もう、送信!」
試行錯誤を重ねに重ねて送ったメールは
《悠さんお疲れさまです!今日はずっと悠さんの側に居れて嬉しかったです。丁寧に教えて下さりありがとうございました。私の電話番号はーーーー》
やはり私には色気のある文章や可愛らしい文章はかけませんでした………(がっくり)
でも!
"側に居れて嬉しかった"はめちゃくちゃ勇気を出して書いたしっ!!
今の自分の精一杯のメールだし、良しとしようじゃないか…………
……いや、やっぱ良くないよね……
全然可愛らしさも微塵もないもん!このメール!
私のバカーーーー!!!
一人悶々としていると、スマホの着信音が鳴った。
「ーーーーっ!!悠さんっ!」
慌てて通話ボタンを押すと、悠さんの声が聞こえてきた。
悠「花音?悠だけど…。お前メール遅すぎ!…いつまで経ってもこねーし心配しただろ?」
悠さんの声に胸がキュウっとなる。
「ご、ごめんなさいっ!だって、何て書いていいかわかんなくて…」
受話器の向こうの悠さんがため息をつくのがきこえた。
やっぱだめだったよねーーー
呆れられてるし……全然だめじゃん…私