第2章 ただ求めればいいもの
控え室の前に着き、ドアを開けようとするとーーー
ーーーードンっ
顔のすぐ横に何かが通ったかと思うと、目の前にはドアを押さえる手。
?「待って」
驚いて振り向くとーーーー
「ーーーっ悠さんっ!」
悠さんの顔が数センチ前に現れ、私の心臓は跳ね上がった。
いわゆる"壁ドン"状態ーーー
かっ顔が………
ちっ近すぎっーー!!!
目の前に整った悠さんの顔ーーー
あと少し動くだけでキスしてしまいそうな距離に私は固まったまま動けずにいる。
悠「………忘れ物。後で連絡して?」
私の耳元でささやくと、私の手に小さく折り畳まれた紙を渡した。
ゾクゾクーー
耳にかかる悠さんの息に体が熱くなるのを感じるーーー
そのまま悠さんを見つめていると悠さんは困った顔をし、横を向いてしまった。
悠「……煽るなって。その顔、他のやつには見せんなよ?」
煽る……?
意味が分からず見つめていると悠さんは、はぁっと息を吐いた。
ーーーチュッ
小さく音を立て私の唇には熱が触れた感覚だけが残った。
「ーーーっ/////!!」
悠「今はこれでお預け…な?……気をつけて帰れよ?」
固まったまま呆然としているとおでこを小突かれた。
「ーーいっ!」
悠「返事は?」
「……はい///」
悠さんは満足そうに笑うと手を降って戻っていった。
ーーーーその背中を見ながら私はしばらく動けずにいた。
また……キス…しちゃった………
思い出し顔に熱が集まる。
ドキドキが収まらないまま着替えを済まし店を出た。
悠さんから渡された紙を開くと、そこにはメアドと電話番号が書いてあった。
これを渡すためにわざわざ追っかけてきてくれたんだよね……
悠さんの連絡先だぁ……嬉しい……
帰りの電車の中で何てメールしようか考えなくっちゃ!