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Liebe ohne Anfang(進撃:ベルトルト夢)

第1章 Liebe ohne Anfang


「既に亡くなっていたら頭蓋骨や肉付き、とにかく残ってる部分から特徴を得て修復したわ。それすらなければ、後は親族に顔の特徴を尋ねるしかないんだけどね。」

 調査兵団に入るのと、家族の死が繋がるのを認めたくない親族は大勢いた。兵士の依頼で顔を彫るのは縁起が悪いと罵られる事も少なくなかった。けれどいざ兵士が亡くなれば、巨人に遺体を食われた家族に感謝される。それはとても皮肉な事だ。「修復屋」という生業は「生きた証を残す」事が仕事だが、それは聞こえよく言えばの話である。結局、「人の死」が伴わなければ成り立たない。遺族の役に立ったと喜ぶと同時に、役に立つ日が来なければ、と願わずにはいられない役割である。

「…巨人が襲った時、私は後悔したの。どうして今まで出会った人々の顔を描かなかったのか、って。調査兵以外にも、巨人に襲われる可能性は十分あった。100年の平和が続いていたとしても、壁が破壊される可能性は皆無ではなかったのに。絵を残して、救われる人もいたかもしれないのに。……いいえ、一番心残りなのは、父と母の絵を残せなかった事。私が今こうして絵を残しているのは、過去に捕らわれた自分を正当化したいから。両親の絵を描かなかった分、他人の為に絵を描く事で自己満足しようとしているの。どこまでも自分勝手なのよ。けど、自分にしか出来ない事なのは確かだから。」
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