Liebe ohne Anfang(進撃:ベルトルト夢)
第1章 Liebe ohne Anfang
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とベルトルトの二人はそれ以来、顔を合わせれば挨拶と短い会話を交わすようになった。最初は訓練を時々共にする程度の付き合いだったが、3年の訓練期間の間、気づけば食事や休日など、一緒に過ごす時間が増えた。共に強く成長した少年と少女は、互いを気の置けない友人として認識するまでになった。とはいえ、やはりベルトルトはライナーやエレン、その他の人達と過ごす事も多かったし、は相変わらず大勢いる訓練兵の顔を一人一人描く事に専念している。互いに内気な性格をしている所為か、相手に気を使って長時間、または深い話しをした事はなかった。
しかし、素朴な疑問をと出会った当初から一つ持っていたベルトルトは、ある昼食の席でに質問をした。
「君は、どうして訓練兵に? 絵の才能があるなら、きっと別の生きる道があるんじゃないのか。」
ベルトルトは常に不思議に思っていた。正直に言えば、が兵士として生きる事は難しい。実践になれば、恐らく最初に巨人の餌食になるような人物だ。試験は合格するものの、生存確率で言えば他の者達と比べて低い方だろう。それは彼女自身、よく自覚しているはずだ。他に生きる道が無いと言われれば「そうか」と納得できるかもしれない。けれど彼女には絵の才能がある。明らかに絵の道へ進んだ方が安全にも関わらず、彼女が選んだのは兵士の道だった。いくら考えても解せない。それ故に、ベルトルトは膨れ上がった興味本位で尋ねたのだ。
「…私の出身地は知ってる?」
「え? いいや。」
質問に質問で返されたベルトルトは戸惑った。が故郷の話しを切り出したのは今回が初めてである。そしてそれが彼の質問とどう関係があるのか、更なる疑問が浮かんだ。
「ウォール・マリアのシガンシナ区よ。」