Liebe ohne Anfang(進撃:ベルトルト夢)
第1章 Liebe ohne Anfang
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ギャアアアァァァ!!!
奇声を上げたのは目の前の巨人だった。何事かと目を薄く開らく。そこには奇行種が上半身を超大型巨人によって握りつぶされている姿があった。それを目の当たりにし、は大きく目を見開く。唖然としてその場に固まっていれば、超大型巨人は握りつぶした巨人を遠くへ力強く投げ放つ。そしてそのまま超大型巨人の手はへと振り下ろされた。
バキボキッ、ジュワァァァーー
「いやあ゛あ゛ああぁぁぁ!!!!」
今度はが悲鳴を上げる番だった。超大型巨人は狙ったかのように、地面に広げられたの片腕を叩き潰したのだ。粉々になる己の骨が嫌な音を響かせる。巨人の異様に高い体温で焼かれる腕から、焦げ臭い匂いも漂って鼻につく。叫び続けるうち、腕はいつのまにか平になって捥げた。腕の無くなった肩口が焼かれた事により、出血もなくそれ以上の怪我を負わされなかったのが唯一の幸いである。しかし生理的な涙は流れ続ける。頭が真っ白になり、苦痛で意識も持って行かれそうになる。
刹那、超大型巨人が姿を消した。残されたのは視界いっぱいに広がる熱のこもった霧だけである。痛みから体の痙攣が収まらない。これから自分はどうなるのだろうか。には恐怖と絶望だけが残された。