第79章 素直になりたい恋心〈松川一静〉
松「おい。何泣いてるんだよ。」
「な、泣いてないし!見ないでよ!!」
松川に言われて私は必死に手で涙を拭いた。
けれど拭いても拭いても涙は溢れ出た。
松「泣いてるじゃん。ほらこれ使えよ。」
そう渡してくれたのは松川のスポーツタオル。
私はそれを受けとると泣いている自分の顔を隠した。
「…私、ずっと悩んでたんだからね!!わかってたんなら、そっちから早く言ってくれればいいのに…!」
松「ごめんって。これからはいっぱい一緒にいてやるから、許せって。」
私がそう言うと、グイッと引き寄せられ、優しく抱きしめられた。
「もう…本当ズルい…。そうやって私が簡単に許せるようなこと言うんだもん……。これからは登下校もお昼も一緒にいてもらうからね!」
嬉しすぎて余計涙が出た。
こんなときでも素直に"嬉しい"とか"ありがとう"とか言えない自分がイヤになりそうだった。
松「はいはい。わかってるって。」
だけど、松川はそんな素直になれない私をわかってくれるように言った。