第79章 素直になりたい恋心〈松川一静〉
突如訪れた松川との二人っきりの時。
正直ドキドキが止まらなかった。
片耳から流れる好きな曲。
その曲でさえも自分の鼓動の音で聞こえなくなりそうだった。
お互い喋らなくて、どうしていいかわからなくなった私は自分から話を切り出した。
「……この曲ってさ、大切な友達がいつの間にか好きな人になって、なかなか素直に慣れないって曲なんだって……。」
好きで何となく歌詞の意味とか調べてわかったことを言った。
松「へー。そうなんだ。」
別に顔を合わせることもなくただ私の話を聞いてくれた。
「私、この曲聞いてるとさ、少し共感できるんだ。私もずっと好きな人がいるのにその人の前だと緊張してうまく話せなくなるんだ……。」
名前は言わない。
でもわかってほしいと願いを込めて私は言った。
松「そうだったのか。まあ、頑張れよ。応援してる。」
返ってきた松川の何も気付いてないような言葉に私は感情を押さえられなくなって…。
「っ…………松川なんどけど…!私が好きな人!!!」
そう言ってしまった。