第79章 素直になりたい恋心〈松川一静〉
貴「あ、ついでにさ、松川にも貸していい?あいつも珍しく課題やってくんの忘れたみたいなんだよ。」
貴大がそんなことを言い出して私は慌てて貴大に耳打ちした。
「っ!!……ちょっと、貴大……それわざと言ってるでしょ…!!?」
貴「え?何が??」
「私が松川とこ好きだって知ってるくせにとぼけないでよ…!」
松川は貴大と仲良くなってから知り合った男友達のひとり。
あと、同じバレー部の及川とか岩泉とかとも仲がよくて、皆で遊びに行くこともあるけど、及川と岩泉がいると騒がしくなるらしく、5人で遊ぶことも多いけど、3人でどっか行ったりすることも少なくない。
そして私はいつの間にか松川に恋していた。
その事を知っているのは、貴大と中学からの親友の理央だけ。
貴「あー…バレた!?いや、俺なりに協力してやろうかと思ってさ!」
「面白がってるくせに協力とか言われても全然嬉しくないんだけど…!」
貴「まぁまぁ、半分そうだけど、こういうのもチャンスに繋がるかもしれないだろ?つーかもうノート貸すって言っちまったし。」
「……え?」
松「黒羽ー、ノート貸してくれるってマジ?」
噂をすれば、教室のドアから松川がそう、声をかけてきた。
「ま、松川!!」
松「悪いな…すっかり英語の課題あるの忘れてて、見してもらうと助かるんだけど。それに、黒羽のノート見やすいし。」
「っ……べ、別にいいけど…。汚さないでよ!」
松「あぁわかってるって。マジ助かるわー!サンキュー!!あとでなんか奢る。」
「いいってそんなの!つーかそろそろ予鈴なるんだから自分の教室戻りなよ!」
松川がいなくなってから、なんで、また余計なこと言ってしまたのかと反省する。
すると……。
貴「な?ちゃんと協力してるだろ?このチャンス無駄にすんなよ?」
貴大にそういわれるのは少しムカつくけど、でも話すきっかけとか出来て嬉しかった。
「……あとでシュークリーム奢る。」
お礼に私は貴大の好物のシュークリームを奢ることにした。
「お!まじで!!」