第74章 抱えた思い〈松川一静〉
私は中学の時は合唱部に入っていた。もちろんバレーに縁はなかった。
だけど、そんな私が男子バレー部のマネージャーになったのは……
松川先輩のそばにいたかったから…。
高校に入って間もない頃。
担任に頼まれて授業で使った書類を資料室に運ぶよう頼まれたけど、場所がわからなくて困っていたら、近くを通った松川先輩が教えてくれた。
おまけに書類も半分ぐらい持ってくれて、それで私は一目惚れした。
数日後、松川先輩が男子バレー部に入っているのを知って、つい勢いで入部してしまった。
今思うと、そんな理由でと思う。
バレーにも詳しくないし、そこまで興味も無かったし……。
だけど、入部して一年半ぐらい過ぎた今ではバレーが好きになっていた。
サポートとか応援しか出来ないけど、それでも頑張っている皆と過ごす部活の時間は居心地が良かった。
それでも、入部した理由は"好きな人の側にいたかったから"
真面目にやっている皆には今思うと失礼だと思った。
だから、言い出せないでいた。