第7章 釣り合い〈及川徹〉
私は少し強い口調で言ったのに彼は嬉しそうに微笑んだ。
「ただし、私の前ではその作り笑いやめてよね!」
幼馴染みだからか…
好きだからか…
彼の笑顔が作って笑っているのか、本当に笑っているのかわかる。
及「あ、バレてた?
もしかして俺の本当の笑顔は自分のものが言いとか〜?」
ヘラヘラ笑う彼。
私は彼を見ずに答えた。
「いや、ただ単にウザいだけ。」
及「もー素直じゃないな〜!
でも俺は朱鳥と一緒にいるときはいつも本当の笑顔だよ♪」
「……はぁ。そうですか。」
なんでそうゆうことをサラッと言えるのだろうと疑問に思う。
しばらく歩いてると
及「ね〜俺は今でも朱鳥と一緒になりたいって思ってるよ?」
またその話しか…。
もう何度目だろうか。
「……私はそうはもう思ってない。」
及「なんでさ〜朱鳥だって昔、『わたし、大人になったらとおるくんと結婚するの〜』って言ってたじゃん!」
ムスっとした顔で私のマネをしたりする。
「昔って…いつの話ししてんの?」
及「小1の夏休みの8月3日、朱鳥が俺んちに泊まりに来たとき♪」
「なにそのピンポイントな記憶力。逆にキモいんだけど…。
及「朱鳥との思い出を大切にしてるだけだよ〜!」
「…。」
そんなこと言われて嬉しくないわけがない。
だけど自分で決めたことだし、今さらまた付き合おうなんて図々しい気がして私は素直になれずにいた。