第70章 忘れない約束〈花巻貴大〉
「はぁ?何言って……。」
朱鳥の言った言葉が俺には意味がわからなかった。
「だって…その時一緒に約束したじゃん…お互い、相手のことが好きな限りはこのキーホルダーをずっと身につけていようって…いつか再開したときの目印にって…。
わざわざ引っ越す時にくれたじゃん…。
でも…花……今は付けない…。それってもう私のこと好きじゃなくなったってことでしょ?」
その約束もちゃんと覚えてる。
朱鳥が引っ越すって知って、近くの雑貨屋で同じのを二つ買って一つを渡した。
でも付けなくなったわけでも、なくしたわけでもない。
あれは今……。
「あ……いや、違っ…「いいの!…小学生の頃に好きだった人なんて高校になれば他に好きな人が出来て、そんな気持ち無くなるよね………大丈夫。」……。」
朱鳥の目には少し涙を浮かべていた。
「…でも……ちょっと、期待してたんだけどなぁ……。あ、私、髪乾かしてくる…。」
その場にいるのが辛くなったのか朱鳥が立ち上がった。
花「……っだから、話聞けって!」
誤解したままが嫌で俺も立ち上がって朱鳥の腕を引っ張った。
「え?…わっ!!?」