第70章 忘れない約束〈花巻貴大〉
「ねぇ………花ってさ、」
花「あ?」
突然呼ばれて見ると少し元気がないような顔をしていた。
「う、ううん。やっぱなんでもない!」
けれど、朱鳥は何も言わなかった。
花「はぁ?なんだよそれ!?気になるだろ?」
「えー…どうしようかな…。」
朱鳥は少し無理して笑って誤魔化した。
と、その時ポツリと
花「うわっ雨かよ!俺、傘持ってきてねーよ…。」
「あ、私のアパートこの近くだこら寄ってて!?」
そう言われて、迷ってる暇もなかったから急いで朱鳥が今住んでいるアパートに向かった。
花「うわ~結構濡れたな。」
アパートについて中に入る。
「だね、結構本降りだったよね。そうだ、シャワー浴びてきなよ。」
花「バーカ、お前先にしろよ。一応女子なんだから。」
俺は朱鳥の頭を軽く叩いて先にシャワーを進めた。
「一応って何さ!でも、お言葉に甘えて。あ、タオルはベッドの横のタンスの一番下にあるから勝手にとって使っていいよ!」
花「あぁ、わかった。」
朱鳥が風呂場に入ってから、タオルを借りて少し落ち着く。
少しボーとしながら、部屋の回りを見回すとシンプルで整理整頓されていた。
と、目についたのはベッドの隣のテーブルに置いていった朱鳥のスマホだった。
そこには星形のチャームがついたキーホルダーが付いていた。
それには俺にも覚えがあって触ろうとしたとき。