第69章 恋の花はいつの間にか〈矢巾秀〉
その子は驚いた表情で何も言い返してこない。
まぁ、そりゃそうだ。
倒れた原因の男子にいきなり告られたら誰だってビックリするだろう……。
矢「……あ…ごめん………いきなりこんなこと言われてビックリしたよね?……俺…帰るわ……じゃまた…「待って……。」…え?」
俺は慌てて立ち上がって出ていこうとしたとき、その子は俺のジャージの袖を掴んだ。
「…さっき…ぶつかったとき、あそこに行ったのはね……矢巾くんに"お疲れ様"…って言いたかったの。」
その子は少し顔を赤くしてそう言った。
矢「…なんで俺に?」
「…私も…矢巾が好きになったから……。」
ボソッと言ったその声は小さかったけど俺にはハッキリ聞こえた。
そして、夢ではないのかと思うぐらいの衝撃だった。