第68章 届け、私の想い!〈月島蛍〉
蛍「ねぇ、聞いてるの?」
その声に我に帰る。
「へ……?あ、ごめん!ちゃんと考え事してた…!」
蛍「人に頼んでおいて、聞いてないとかありえないんだけど…。」
「ごめんって!もう一回教えて?」
そう言うと蛍はため息をひとつしてまた最初から教えてくれた。
「よし、これで明日の提出するのは終わったー。ありがとー蛍!」
蛍「…どういたしまして。」
「ねぇ、蛍。」
蛍「何?」
「蛍って好きな人いる?」
引っ越すのは来週。
でもきっとちゃんと話せるとは今しかない。
そう思って私は話を切り出した。
蛍「は?何いきなり。」
「だって私たちもう高校生でしょ?好きな人の一人や二人いるかなって思って。」
蛍「…それを聞いてどうするの?」
「別にどうもしないよ。でもいるなら応援するかな。」
蛍「……いるよ。………まぁあっちは全然気づいてないみたいだけど。」
私は一瞬何とか言い返せばいいかわからなかった。
でも、ずっと黙ったままじゃまずいと思い。
「そ、そうなんだ。ちなみに誰?」
蛍「そんなの朱鳥に言うわけないじゃん。」
なんて聞いたけど、
帰ってきた答えは思っていたような言葉だった。
「だ、だよね…ごめんごめん……!!あ、私そろそろ行くね?今日はありがと。今度お礼するね。」
私は必死に笑って蛍の部屋を出て、蛍のお母さんにも軽く頭を下げて蛍の家を後にした。
そして、自分家に帰る途中、堪えていた涙が溢れた。
私の恋は告白する前にすでにフラれてしまっていたのだから。
もう。告白なんてやめようと思ったけど、でもせめて蛍に私の想いは知ってもらいたいと思って一通の手紙を書いた。