第65章 あなたの好きなとこ〈花巻貴大〉
「…た、貴大くん…!私は大丈夫だから!」
そんな風に朱鳥に言われたけど。
及「ほらー朱鳥ちゃんもこう言ってるし、もうマッキー何ムキになってるの?別になにもしないって!」
さっきのこともあってこいつに朱鳥を近寄せたくなかった。
貴「別にムキなってねーけど、俺らが付き合ってんのわかってて馴れ馴れしく朱鳥に触ったり、変な誘いすんなよ!」
及「何マッキー嫉妬?」
貴「はぁ?ちげーよ!俺は…!」
「貴大くんっ…落ち着いて…?!」
朱鳥が俺の袖を引っ張って止めかかったとき。
松「はい、ストーープ!お前らいい加減にしろって。」
そう言って兄の松川が割って入ってきた。
「お兄ちゃん……。」
松川の言葉に少し冷静さを取り戻した俺が朱鳥の方を見ると、少しほっとしたような顔をしていた。
松「ったく、及川少しからかい過ぎだ。花巻もあんまり、こいつのこと困らせるなよ。」
貴「……わ、悪い……。」
松「とりあえず、今日は俺が連れて帰るから、また明日な。行くぞ朱鳥。」
「う、うん。じゃあお疲れ様でした。」
松川にそう言われて軽く頭を下げて朱鳥は行ってしまった。
その後ろ姿を見ながら俺はスゲー反省したし、後悔もした。
朱鳥のことを思ってたとはいえ、その朱鳥を困らせちゃダメに決まってるのに。