第65章 あなたの好きなとこ〈花巻貴大〉
その日の部活終了後、朱鳥と待ち合わせしてる昇降口に向かうと。
及「朱鳥ちゃん、さっきはありがとうね!」
「いえいえ!マネージャーとして当然のことですから!」
また、及川と話していた。
及「本当偉いね!朱鳥ちゃんがうちのマネージャーになってくれて助かったよ!まぁ、まさか松つんの妹ちゃんとは思わなかったけど。」
「あはは、よく言われます。私とお兄ちゃんあんまり似てないから…。」
及「あ、そうだ!テーピングのお礼になんか奢ってあげるよ!今日これから大丈夫?」
「え……いや……。」
俺はさすがにその言葉に二人に駆け寄った。
貴「おい、及川、お前わかっててそう言うの言うのやめろよ。」
バレー部のメンバーには俺と朱鳥が付き合っているは言っていた。
それは兄の松川にも、そして、この及川にも……。
にも関わらず、ナンパみたいに朱鳥を誘うのはあり得なくねーか…?
及「もうー冗談だってマッキー!人の彼女取るほど俺、女の子に困ってないよ!」
貴「っ……。」
及川のヘラヘラした言い方に余計イラついた。
及「でも、お礼したいってのは本当!なんかない?」
そしたらそんな俺をよそにまた朱鳥に笑顔を向けた。
「い、いえ!!そんな……!!!」
及「そんな、遠慮しなくていいって!」
「で、でも…。」
貴「だから、やめろって!朱鳥困らせるなよ!」
少し困っている朱鳥を自分の方に寄せてしつこく言ってくる及川から離した。