第62章 夏と野球とバレーボール〈菅原孝支〉
「じゃあ私こっちだから。」
二人で話ながら通学路を帰っていくうちに、分かれ道について、黒羽は俺の家と反対の方の道を指差した。
菅「あ、あぁお疲れ!」
苦しくも黒羽と過ごした楽しいこのわずかな時間はあっという間に過ぎていた。
「お疲れ!また明日ね!」
そう言うと黒羽は背を向けて自分の家と歩き出した。
菅「………黒羽!!」
俺はつい声を出して黒羽を引き止めた。
「ん?どうしての?」
ビクッと少し肩を震わせて振り向いた。
菅「……あのさ、もし今付き合ってる人とか好きな人いないならさ……俺と付き合ってくれない?」
きっと今年が最後という焦りがそう言わせたんだと思う。
だけど、俺にはほんのわずかな期待しかなかった。
「………いいよ。」
菅「…え?」
「だから、付き合っていいって言ってんの。」
菅「ほ、本当に?」
一瞬黒羽がなんと言っているのかわからなかった。