第61章 年下彼氏 〈岩泉一〉
コーチからもらった紙を頼りに、夜の道を歩いていると。
「んー……。…一……くん?」
そう言って背負っていた朱鳥が動いた。
発言も落ち着いているようで少し酔いがさめたみたいだった。
一「…大丈夫か朱鳥?気分悪くないか?」
「…んーまぁなんとか……。ってかごめんね。背負わせちゃって…。」
一「いや、大丈夫だ。」
「………ねぇ、私さ明日のお昼にはバスで帰るんだけどさ……一くん来てくれる?」
朱鳥は俺の首に腕を絡めて耳元で言った。
一「明日休みだし行ってやるよ。……ただし、さっきみたいに、俺のとこも呼び捨てで呼んでくれないか?」
「…え?わ、私、一くんとこそんな風に言ってた!?」
一「あぁ、酔った勢いでな。」
「…うわ~マジかぁ……恥ずかしい……。」
後ろにいる朱鳥は顔は見えなかったけど、慌ててるようすがなんとなくわかる気がした。