第61章 年下彼氏 〈岩泉一〉
「でも、一くんはそっちの方がいいんだよね…。」
一「まぁ、無理にとは言わないけど……」
朱鳥が少し困っているようだったからそう言ったんだが、
朱鳥は俺の耳元に顔を寄せると
「…は……一……。」
と、ボソッと言った。
一「っっ!!」
その瞬間、心臓が止まるかと思った。
「あー、やっぱ恥ずかしい…!でもちょっと嬉しいかも……。」
そう言いながら朱鳥は俺の肩に顔を埋めた。
一「俺も嬉しいよ、朱鳥。」
そんな朱鳥を慰めるように言った。
それから少し沈黙が続いたとき。
「……ねぇ、私がいない間浮気しないでね?」
突然そんなことを言った。
一「しねーよ。つーかする気ねーし。」
「そっか良かった。私ね、早く一と一緒になりたい。そうすれば毎日会えるもん。」
その事を聞いて、たまにしか会えないこの状態が少なからず朱鳥に不安を与えることになると思った。
だから……。
一「…待ってろ…。」
「え?」
一「あと、一年弱。そしたら、必ずお前を迎いに行くから。」
それが今の俺が朱鳥にできることだった。
「…うん……ありがと、一…!!」
嬉しそうに喜んだあと、コーチの家に着く頃には朱鳥はまた眠ってしていまっていた。
ただ、その寝顔はとても幸せそうだった。
-年下彼氏-
END