第60章 幸せすぎる日常〈月島蛍〉
それからしばらくして
突然ポツリポツリと雨が落ちてきた。
「あ、雨…。どうしよう。私、今日傘持ってきてない。」
空を見上げて困っていると、スッと目の前に紺色の傘が現れた。
蛍「まったく、ちゃんと天気予報見てきなよ。」
それは蛍が持ってきていたで、折り畳み傘で私にさしてくれたものだった。
「ありがとう、蛍。」
そのまま私達は相合い傘で歩き始めた。
またしばらくすると蛍と別れる交差点まで来てしまった。
「じゃあまた明日ね!」
寂しいという気持ちを押さえて手を振って傘を出ようとしたとき、腕を捕まれて引き止められた。
蛍「ちょっと、もしかして濡れて帰る気?朱鳥家まで結構距離あるでしょ?」
「だって蛍の傘借りるわけにはいかないし、走って帰ろうかなって。」
蛍「走って帰っても家に着く頃にはびしょ濡れになるでしょ。雨が上がる間家に寄っていきなよ。上がらなかったら、傘貸すから。」
「いいの?ありがとう!」
蛍が私の事を心配してくれたり、家にあげてくれるのも嬉しかったけど、何よりもう少し蛍といられるのが嬉しかった。