第57章 敵わない相手〈花巻貴大(松川一静)〉
*貴大
貴「ま、何もなかったし、よかったじゃん。次、行こうぜ?」
「うん!」
そう、俺と朱鳥が手を繋いで行こうとしたとき。
松「あー悪い。俺は先帰るわ。」
後ろにいた松川がそう言った。
「え?帰えちゃうの?もうすぐイルカショー始まるのに。」
松「用事出来たんだよ。元々デートだったんだろ?二人であとは楽しんでこいよ。」
「うん!ありがとう!」
兄妹での会話を終えたあと松川は俺の横を通りすぎる間際に、ポンと肩を叩いた。
貴「…松「やっぱお前で良かったわ。」…。」
松「あいつのことをよろしくな。」
そう言って、去っていく松川の後ろ姿を見て
男前で、妹のことをあんなに大切にしていてマジで敵わねぇって思った。