第54章 嫉妬。〈花巻貴大〉
*朱鳥
なんか今日の貴大くん元気ないみたい。
どうしたんだろ?
一人遠ざかっていく貴大くんの姿を見ながら思っていると。
及「あーあ、ありゃマッキー拗ねちゃったね。」
「え?」
岩「あぁ、拗ねたなあれは。」
松「だな。」
「え?な、なんで、貴大くん拗ねてるんですか?」
悟ったように話すお兄ちゃん達。
私は訳がわからず聞いた。
及「もう朱鳥ちゃん鈍感!朱鳥ちゃんがあまりにも松つんや金田一にベッタリだから、嫉妬しちゃったんだよ!」
「え、私別にそんなつもりじゃ…。それにちょっと触れたり、話したりしてただけですよ?」
及「あーもう!朱鳥ちゃん本当男心がわかってない!好きな子が兄妹だろうが、クラスメイトだろうが、他の男と一緒にベタベタしてるの見るのは嫌なの!」
岩「まぁ、いい気はしないよな。」
松「だから、降りろって言ったんだ。花巻、今日はなんか機嫌悪そうだったから。」
珍しく、意見があっている三人。
その三人に言われて、不安になった。
私は貴大くんを傷つけてしまったのかな。だとしたら早く謝りたい…。
「わ、私、貴大くんに謝ってくる。お兄ちゃん、お母さんに遅くなるって言っておいて!」
私は普段走るのは苦手だったけど、自然と足が動いた。
松「おー。つーか朝まで帰ってこなくていいぞー!」
及「松つん、それはさすがにダメでしょ?」
松「別に。俺は花巻になら朱鳥やってもいいと思ってるから。」
及「松つん男前!」
岩「つーか父親かよ。」
そんなことが後ろから聞こえたけど、今の私には貴大くんに謝りたいということしか頭になかった。