第54章 嫉妬。〈花巻貴大〉
で、話を戻そう。
俺がなぜ俺がこんな気持ちになっているか。
それはいつものように部活を終えて及川達と帰っているとき、朱鳥が俺の目の前で兄の松川にくっついて甘えているから。
「お兄ちゃん。疲れた…おんぶー。」
松「ちょ、重い。俺部活終えたばかりなんだよ。疲れてんの!降りろ。」
朱鳥は松川の背中にぶら下がって駄々をこねている。
松「だいたいお前はマネージャーだろ。たいした疲れてねーだろ。」
「それ偏見ー。マネージャーでも、疲れるんです。」
もともと仲がいい兄妹だから、一緒にいるのはよくあるし、こういう光景も珍しくない。
だけど、彼氏いるのに兄にベッタリってどうなの?
しかも朱鳥は昼間とか部活中は同じクラスの金田一と一緒にいるし。
あぁ……本当面白くない。
岩「なー、どっか寄って行かねー?」
学校を出てしばらく歩いて岩泉がそう提案してきた。
及「いいねこの辺だと駅前のコンビニとか?」
「あ、私も行きたい!」
楽しそうに笑う朱鳥を見るのはいつもは嬉しいのに、今日は変にイラついた。
貴「……悪い。俺用事あったの忘れてたから帰るわ。」
「え?そうだったの?」
岩「まぁ、仕方ないだろ。」
及「そうだね、じゃあねーマッキー!」
貴「………おー、また明日なー。」
俺はこの場にいたくなくて、逃げるように帰った。