第5章 名前の呼び方 〈影山飛雄〉
"嫉妬"?…ああ、そうだ。俺は嫉妬しているんだ。朱鳥が日向を名前で呼んで、楽しそうに話している姿を見て嫉妬したんだ。
「…やっぱ…そうなんだ…。ゴメンね?……でもね、別に翔…日向に特別な感情はないよ?友達とか…あと弟といるみたいでつい世話やいちゃっただけなの。今だって先生から日向に勉強教えるように言われただけだし。」
俺のことを思ってか"翔陽"と言いかけたのを"日向"と訂正して理由を話してくれた。
その気遣いと理由を聞いて少し安心した気持ちと朱鳥に怒鳴ってしまったことを後悔した。
影「……悪い。」
「え、いや…私こそ嫌な思いさせてごめんね!」
おどおどと謝る朱鳥。
影「…もう1つ聞いていいか?なんで俺は苗字なんだ。」
実際この事が一番気になっていた。
「え…えーっと…。」
朱鳥は何故か目を反らした。