第5章 名前の呼び方 〈影山飛雄〉
影(何で朱鳥が日向と一緒にいるんだ!?)
そう思いつつ教室のドアからそっと様子を見た。
「―……だからね、この問題はこっちの公式を使うんだよ。」
日「うおーー!!!!と、解けた!!俺にも解けた!!」
とうやら朱鳥は日向に勉強を教えているようだった。
日「朱鳥ありがと!!朱鳥おかげで少しだけどわかるようになった!!」
「あは!!そんなことないよ?翔陽は努力家だし、ポイントさえ覚えればテストでもいい点取れるよ!!」
その瞬間、俺の心に何かが引っ掛かった。
影(アイツ…日向のとこを名前で…。俺は苗字なのに…しかも"君"付け…。)
俺はガラッと教室のドアを開けて二人の方に近づいた。
「か、影山君!?」
日「げっ!!影山!!」
二人は驚いていた。
「影山君…先に帰っててもよかったのに…。どうしたの?」
座ったままこっちを見た。
影「おい!!もう帰るぞ!!日向!お前はあとは一人でやれ!!」
俺はただそう言って朱鳥の手を掴んだ。
「へっ!?ちょちょっと!!?待ってよ鞄持たせて!!」
空いている片方の手で荷物を鞄にしまう朱鳥をグイッと引っ張った。
日「はぁ!?何だよお前!!?」
日向が言い返すが無視して教室の外へ向かった。
一秒でも早く日向から朱鳥を離したかったからかもしれない。
「じゃ、じゃあね!!翔陽!!」
朱鳥は軽く手を振った。