第51章 守りたいもの〈国見英〉
先に行ってしまった朱鳥を探した。
図書室、体育館、朱鳥の所属している美術部の部室……
。
だけど校舎のどこを探してもいなかった。
外は雨が降っていけど、まさかと思いながら傘を差して探した。
そして……やっと朱鳥を見つけた。
校舎裏の壁に膝を抱えて泣いていた。
そこは屋根がほとんど無く、朱鳥は雨でずぶ濡れになっていた。
英「朱鳥…こんなとこいたら風邪引く。」
俺はそう言って傘を朱鳥の上に差した。
だけど、朱鳥は何も言わずうつ向いたまま泣いている。
ずぶ濡れの朱鳥に俺は黙って着ていたジャージの上着をかけた。
そしたら
「英……私、捨てられたのかな……?」
たくさんの涙を流しながら俺を見て言った。