第51章 守りたいもの〈国見英〉
だけど、朱鳥の幸せそうな時間も長くはもたなかった。
朱鳥と鈴木が付き合って一ヵ月経とうとした時のある日のことだった。
放課後の教室の廊下の前で朱鳥と会った。
「あれ、英?今日、部活は?」
英「今日は体育館の点検で使えないからミーティングと筋トレだけ。忘れ物したから取りに来た。そっちは?」
「ちょっと先生に手伝い頼まれちゃって。で、今から公平くんと帰ろうかと思って公平くん探してたの。」
英「へぇ。そうなんだ。」
本当は朱鳥の口から聞きたくない名前。でもそんなことしたらきっと朱鳥を傷つけることになる。
だから、俺はなにも言わなかった。
なのに…
それなのに……あいつは…。