第4章 一年の差 〈黒尾鉄朗〉
そして包帯を巻きながらクロが言う。
ク「少しは落ち着いたか?」
私は黙って頷く。
ク「俺だって離れたくないって思ってる。…けど、違う年に生まれちまってから思ってもどうにもできねーだろ。」
「…うん。ごめん……。変なこと言って…。」
ク「別に謝らなくていいって。
確かに、これから会う機会は今までより減るだろうな。」
その言葉に現実を見せられてるようで顔が下を向く。
ク「けど、俺はお前以外好きにならないし、会いたいなら家にも大学にも会いに来ればいい。まぁ時間が合えばだけどな。」
私はふとクロを見た。
「……いいの?」
ク「ああ。お前が辛い思いするの嫌だからな。」
クロは私の頭を撫でた。
ク「それとな、朱鳥。もしまだ進路決まってないなら俺とおんなじ大学に来い。」
手当てを終えたクロは私の向かいに座った。
「へ?」
ク「大学に来ればまた会える時間増えるだろ?それまで待ってるから。」
「……っ…うん…行く…。絶対行く……。」
目の奥がじんわり熱くなり涙が流れ少し鼻声になった。
クロはそんな私を少し笑って抱きしめた。
「会えなくなるってもたった一年だろ?これから一緒にいられる時間に比べたらたった一年短いもんだろ?」
耳元でささやくクロの言葉は今までの私の不満を一気に消し去った。
「…う…うん…。」
私はクロに抱きしめられながら泣いた。そんな私をクロは優しく頭を撫でてくれた。